5. 白き雪と花も葉もない桜

常泉寺の石柱の周りや、周囲の家の前をウロウロと歩き回った。
「困った。」
ここまで来ながら、桜の場所わからない、帰ろうかと弱気心がよぎった。
しかし、せっかく西会津まできて諦め切れないとスグ強気心が込み上げてきて、
地図と資料を片手に通りを歩いた。店屋に人が奥にいそうであるが
中に入って声を掛けずに歩いた。
先ほど駅に向かう時に通った信号機のある交差点までくると
果物・八百屋さんに主人らしい人が店の中で働いている。
聞かなければと、店の中に地図と資料を持ち入った。
「すみません、古木の桜、野沢にある化け桜がどの辺かわかりませんか。」
と尋ねると。
「ああ、化け桜ですか、どちらの方からきました。
駅の方ですか、少し戻って左側の細い路地を入っていくとあります。
しかし、雪があって行き止まりになっていますよ。行けないと思いますよ。」
化け桜
「あ、そうですか。ありがとうございます。とにかく行ってみます。」
通りを引き返し、路地に踏み入れた。やはり、行き止まりで雪がノッソリある。
しかし、気持ちが先走る。皮靴で雪の上をぬかりながら進むと土手の上に古木があった。
「化けさくらだ。」
行き止まりのところで車の側で待ってくれた荒井さんに手をあげた。
「あったすか」
と声が聞こえたのでもう一度手を振った。
残雪の上を靴がめり込み、靴に雪が入るのを出しながら進み土手の上に上った。
花もない葉もついてない古木が豪雪地のお墓を守ろうと、姿を荒らしく魔人に化けているようである。
後日、福島の新井さんから満開の化けさくらの写真が送られてきた。
化け桜の写真はこちら

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