7. かすみ温泉

 「あれだよ。かすみ温泉はきっと」
とカメさんが声を上げた。
 多分、2・3軒の温泉宿が湯煙を棚引かせながらひっそりお客さんを待っている光景を想像したが、
峠を下ると直ぐに道が広くなり右手の沢の傍にポツンと一軒の古ぼかしい現代建ての
宴会場、食堂風の大きな建物が見え、かすみ温泉と看板があげられてあった。
 「民宿かな。温泉だ。かすみ温泉と書かれてありますよ。」
とショーちゃん運転手が車を道路の端に止めた。
 車を降りて沢に架かる橋を渡ろうと近づくと向岸のかすみ温泉の方に
矢印とカスミさくらと書かれているギ木つくりの道しるべがあった。
カスミ桜
 「向こうですよ。温泉のところにあるんですよ。」
と私の声もカン高くなった。
 かすみ温泉に引き込まれるようにして4人は橋を渡った。
温泉の玄関付近にも桜らしき古木が見当たらない。
右奥に駐車場があるが沢沿いの樹木にも太い古木の桜が見当たらない。
なにせ、花芽も葉も春の陽気にもかかわらず目をかすかにあけまだ眠いと言っているようで
どの木が桜か分からない。
 「あれじゃないですか。」
とカメさんが駐車場の左奥の上を指差している。
 「あれかなあ・・余り大きくないし、トタン屋根かなんかだよ。」
と長岡さん
 「とにかく行って見ましょう。」
カメさん。

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