15. 緑の山道

後ろ座席の下から、這い上がった僕は、山道らしいので
又半回転でもしたらドイツ犬としてバツが悪いし、犬歯でも折ったら
歯抜け犬でいなけりゃいけなくなるから後ろの席にいよーと。
 国道349号とわかれて県道286号の曲がりくねった上り坂を峠に向かって走る。
「道は厳しくても・・」
とランクスくんは、スローのテンポで歌って上っていく。
 僕は、後ろのドアの肘掛に前足を掛けガラス越しに映る淡い緑、
明るい緑、深い緑を追うように眺めているとね、にわか造りらしい店と
立派な倉庫が目に入ってきたよ。
 「ねー。山菜が売ってそうよ。桧原町のようにきのこ汁あるかもしれないよ。」
とマーちゃんママ。
 「さくら探した帰り、帰り。きのこは秋だよ。
でも、桧原町でのきのこ汁はサービスだけあってキノコより、
大根のほうが多かったよな。」
庚申桜
僕は、きのこ汁は苦手なんだ。何せ肉が無いもんね。
山形の芋子汁には牛肉が入ってるんだけどね、葱が入ってるから、
僕は食べちゃいけないんだってさあ、でもひーちゃんはお湯で一寸しゃぶしゃぶして、
豆腐と牛肉と里芋をチョッピリ食べさせてくれるんだ。
それが味が残っていて醤油の中に砂糖の味がしておいしいんだあ。
ぼくの主治医にひーちゃんが話したらね、マーちゃんと先生から怒られていたよ。
 ランクスくんは、緑の酸素を多く吸いながらも峠を上り終えたらしく、「ホット」息を付いた。
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