3. 青い屋根の奥に桜

部落の中は、昔ながらの家並みがある、さくらを探しながらゆっくりと進む、
間もなく、家並みが途切れ、部落の端にくると小さな商店があり、
桜の場所を尋ねようとブレーキを踏もうとすると前方に人影ある。
ブレーキからアクセルに足を変え人影まで近づいた。
 
 ビニールハウスの前でおじさん達3,4名話し合っている、多分農作業に関しての話のようだ。
 「すみません、北村の馬場の墓の桜は、この辺にありませんか。」
 「さくら・・・」
 「ああ・・馬場の桜、古いさくらかえ・・あっちだよ」
 「どの方向ですか。」
腕と指を指し、
 「あの、青い屋根の奥にあっから。まだ、満開かわかんねよ」
 「ありがとうございました」
 「アイよ」
 気さくな、優しい人々の教えられた通りに、青屋根の家に向かった。
種蒔桜
広い屋敷に古木の桜が時を刻んでいるのかと一人思いにかられ、
青い屋根の裏が見える場所まで来ると、青い屋根の後ろは道である。
 裏の道に車を止め、降りて桜を探した。
 「無い」
 「有りますか」
 「無いです」
後ろを振り向くと、壁の家が数件並ぶ、昔の街道跡の庄屋なのか
商家なのか分からないが、道と建物が風景にマッチしている。
 しかし、桜はどこにも見当たらない。先ほどのおじさん達を信じるほか無い。
 道の両脇をキョロキョロと目を動かしながら歩き青い屋根の家を抜けると
会津高田の田園が広がる。
 田園の視覚の中に小さく、しかし、枝を広げて目立った樹木が見える。
 「あった、あった、新井さん、あれかも知れない。」
 「あれだ、行ってみよう」
なるほど、先ほど、教えてくれたおじさん達の場所からみると、青い屋根の家の奥である。
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