2. 桜と風のいたずら

遠刈田温泉から東へと風を切りながら、平坦な道を走る、森や林の景色が畑続き田んぼが続く、
沿道の家屋が時折目に映る、住宅が居並ぶようになり、右手に蔵王町の役場がある、
役場の前の信号を左折する。
少し走ると右に折れると緩いカーブを描いてグート坂を上り、
下り始めると小さな盆地になっている道路の下にどっしりと根を張っている太い桜を見つけた。
 車を通路に乗り入れて、桜にゆっくりと近寄った。
 桜はわたしを待っていたように花吹雪の前の満開の姿見せようとでもしているようである。
だれも居ない静寂さの桜の下に佇む、桜を見上げる。
根返しの桜
百年も息をしている桜を見上げる、桜の花が渦になる、時も渦になる、
数十年前の二十歳の時代にタイムスリップし、桜をジーと見上げている。
一輪桜の花が亜麻色の長い髪の瞳のクリクリとした乙女に重なった。
純な恥じらい心で恋の思いも口笛さえ吹けず立ちつくす。フット、
時の風ともに乙女の笑顔と花びらが散った。
 古木の桜の近くでブランコがゆれている。
数枚の花びらがゆれる振り子のメロディーとともに舞っている。
 桜の妖精が腕をそっと組んで回った。チュッとキスしてそよ風に乗って空に消えた。
 一瞬の風のいたずらである。
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