開拓の苦労が花咲く山桜
田園の道を静かに走ってポツポツ集落住居ある処に止まった。背の高いシダレザクラ、
エドヒガン桜が空き地広場を囲むように、覆うように、春を知らせるように青空一杯に咲いているよ。
と、ひーちゃんが話してしますが、僕にとっては、そんなに難しく言われても困ります。
ひーちゃんは、そんな事を言い残して、もう空き地広場をアッチに行ったり、
コッチに行ったりして、写真を撮っています。
僕もアイシスさんから降りて、さくらさんの傍に行って挨拶をしたんですがぼくにとっては、
上を見たって、さくらさんなのか、誰々さんなのか、余り高いので見えません。
そして、上の方で答えているようですが意味不明なので、
僕は、近くてオシッコをしてアイシスさんに戻りました。
ひーちゃんは、写真を撮り終えて僕らの処に戻って来て、出発かと思っていたら
アイシスさんを通り越してトコトコと歩いて行きます。
いつの間にか運転手になっている、マーちゃんはユックリとアクセルを踏んで跡に付いて
いきますと、家の傍でお母さんが畑仕事をしているところにひーちゃんは近づいて行き、
話しかけました。
「すみません、お尋ねしますが、広場の桜はどの位経った桜なんですかね。」
「桜ですか、じいちゃん達が開拓に入った時に植えたもんだと聞いてるか
ら、入植したのが80年程前だから、その位だと思いますよ。」
「そうですか。80年ですか。ありがとうございました。ところでこの辺の地名は何ですか。」
「中沼というところですよ。」
「ありがとうございました。」とひーちゃん重ねて言いました。
アイシスさんの窓から僕もお礼を言い中沼集落を後にしました。