種蒔き桜をシャッターに

 道路の脇に車を止めて、カメラを持ち、道路を横断して窪地の桜を眺めながら、階段を降り、
赤い鳥居の前に佇むと、苔で覆われた双幹の桜が小さな、小さな祠を懐に抱いているようにして
花を咲かせている。
 「600年の桜かー、宮宿に有ったんだー。」と、呟きながら種蒔き桜の周囲を回りながらカメラに
古木の桜を撮り収めていると、少し離れた処で霧雨にもめげずに三脚を据えてシャッターを押している
写真マニアらしい男性がいる。
 「何処から来られたんですか。」
 「栃木からです。」
 「雨で大変ですね。」と言って道に上がり、もう一度写真を数枚撮っていると、
写真マニアのらしい男性も、高級そうなカメラと三脚を持って道に上がって来た。
 「すみません、この辺に、兎何とという桜があると聞いたんですけど知りませんか。」
 「えー、聞いたこと無いですね。」
 「じゃー。この辺に、桜は有りませんかね。」
 「この辺では、白鷹、長井の方に古木の桜が有りますよ。」
 「白鷹、長井の桜は、去年取り終えましたよ。」
 「私は、昨日、山形市の松原の愛染神社の桜と見滝寺の桜を見てきましたよ。」
 「私も行ってきました。見滝寺の桜は未だ早かったですね。」
 「古木の桜を見学して、ホームページの載せているんですよ。去年と一昨年は福島中心に
桜探しですよ。」
 「出版社から頼まれまして福島の桜を3年程かけて写真を撮って出版したんですよ。出版社が
山形の桜を出版したいと頼まれまして、去年から写真を撮っているんですよ。」
 「え、去年、確か岩代町だったと思いますが、福島の桜の本を買ってきましたよ、
えーと、桜のえーと、何とか場の桜が表紙の本、そこで、買ってきたんですよ。」
 「私の本ですよ。ありがとうございます。合戦場のしだれ桜が表紙になっているんですよ。」
 「山形の内陸部の桜マップのコピーいりますか。」と言って車から取り出し差し上げると。
宮宿の種蒔桜
 「資料あるんですね。ありがとうございます。」
 「ご苦労さま、山形の桜のイイ写真を撮ってください。」と言い残して別れて会社に戻り
“桜さくら”ふくしまの名木散歩の末尾のページを開くと写真・文は栃木の小林さんであった。

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