2004 年 4 月のアーカイブ
2004 年 4 月 28 日 水曜日
「バック、バック、後ろの整備工場でユータウンさせて貰おうよ。
整備の仕事している人に岩倉さくらの場所も聞いてみるよ。」とひーちゃん
「車がくるからね。後ろをよくみててね。」
「オーライ、おーらい。一寸待ってね。断ってくるから。」
「シュンちゃんも後ろをみててね。危ないときはワンワンワンだわよ。」
「OKだって、岩倉さくらもヤッパリ後ろだって、車を中に入れてユータウンだ。
場所を詳しく聞いてくるね。」
整備工場の敷地で車をユータウンして、
僕はダンナさんがさくらの場所を聞くのを窓から顔を出して見ていると、
整備工場の人は4月19日と言うのにスノータイヤを交換している。
ランクスくんに聞いてみると山形でも3月の末である。
この辺は雪でも多いのかと独り言をしゃべると、

ランクスくんは、
「ここは、福島だよ。きっとさあお客のタイヤ交換や、
整備で忙しく自分の車が遅れたんだよ。ダンナさんパパが戻って来たよ。」
ひーちゃんがドアを閉めて助手席に座ると、
「えーと、もと来た道をもどり、信号機、横断歩道を過ぎると左側に鉄工社があるんだって、
小野町からきた道の交差点のすこし手前らしいが、その鉄工所から入るだって、
その奥にが狭い農道で車は無理だそうだ。歩いて10分ぐらいかかるらしい。
さくらは馬場のさくらより姿形が良いって、そしてねこの辺は、
福島でも一番桜が咲くのが遅いんだって。」
「ああー、そう、じゃあ行きましょう。シュンちゃん出発よ。」
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2004 年 4 月 23 日 金曜日
「鼻が悪いなんて、犬より嗅覚がよけりゃアメリカンドックだよ。わっはは。
信号機に横断歩道だ。あーこの道は何時か来た道だよ。国道49号に間違いないよ。
高速道路が出来る前は郡山からこの道路を通っていわき市に仕事で
何十回も往復しているよ。小野町から入ったんでどの辺か解かんなかったなあ。
左の方だと思うんだが、奥のほうに家がある樹木があるがさくらで無いし。」
「行き過ぎたのと違うの、左に自動車整備工場があるわよ。戻ってみたら停車します。」
「ワンワン」
「シュンちゃん右で無いらしいよ。左を見てね。エー右手に桜が見えるわよ。あれじゃないの。」
僕には本当は桜の香りはわからないんだよ。マーちゃんが言った通り、
僕も行き過ぎたと思ったから頷いただけなんだ。
ひーちゃんは、と阿部先生の桜の資料とを持って車から飛び出し戻ってきた。
「岩倉桜でなく、馬場桜だって。」
「エッ、馬鹿ざくらあ?」

「ババーじゃあない馬場さくら」と言い残して、今度は、バカチョンカメラを持って
車の往来する隙間を縫って道路を渡り三分咲きのさくらのアングルを考えて
バシャバシャとシャッターを押している。
ひーちゃんの話によると村指定の天然記念物で樹齢700年もたっててね、
根元から4本の幹に分かれていて、一本が腐れたして、カットされ
樹脂で固められていたってさ、またね、残っている3本の幹の一本が49号に懸崖のように
道路に突き出してイタって、そして、神社があるのか鳥居と階段があったってさあ。
「おい、髭犬さん、俺だって馬鹿みたいに廃棄ガスを毎日毎日吸ってさ、
幹が枯れてもツッ立っているのはさあ、お前さんのように歩けないからショウガナイのさ、
でも、満開に咲くとさ、綺麗だと頷きながら通っていくよ。この時は男冥利さあ。」
「わんわん」
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2004 年 4 月 21 日 水曜日
地図の上の平田村沢名目の庚申桜の声に押されて
僕たちを乗せたランクスくんは、県道136号と国道49号が
落ち合うところを目指して力を入れて坂をかけあがると
左カーブとともに坂を上り切って下り坂になりランクスくんは
大きく吸った空気をホッと吐き出している。
「下りになったら、景色が開けたよ。あの道が国道49号ハズなんだ、
その交差点を右に曲がって信号を通過すると左側に三合の地名があるんだ。
阿部さんの資料に平田村三合の岩倉ザクラと書いてあるよ左側に何か案内があると思うよ。」
「そんなに言われても覚えられないわよ。右、左、左?ジャ右に曲がるわね。」

僕は、今度はランクスくんの後輪をキキーとでも音を立てて急にでも曲がられて
フッ飛んで仕舞い、また、笑われてしまってドイツ犬のプライドもガタ落ちでなちゃうからね、
いまね両手を運転席と助手席の間のボックスにシガミついて、顎も乗せちゃってね、
後ろ足は後部座席のシートに10本爪をたてて、踏ん張ってるんだランクスくんは、
「ウムだって。」
そしたらね。マーちゃんは優しいね。ゆっくりと停止して静かに右に折れてくれてさあ。
「シュンちゃん、大丈夫よ。ダンナさんは鼻が鈍感なんで桜の香りがしたら教えてね。
ここはね平田村と言うんだって、ダンナさんの道案内によると、
いわき市に近い模様よ。郡山が遠くなって、お母さんの匂いも遠くなっているね。」
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2004 年 4 月 16 日 金曜日
上羽出庭の夏井二小学校を過ぎ宮作で県道136号と合流して五ノ神をすぎると平田町に入った。
僕は、マーちゃんが後ろのウインドーを開けてくれて、外の空気吸っていたんですが
どの辺で平田村になったかは漢字が読めないのでわかりませんね。
「ちょっと、道路脇に古そうなさくらがあるわよ。」
「そうだね。阿部さんの資料にないが、スピード落として徐行してチョウダイ。」
キキーと急ブレーキ、今度もぼくは後ろの席の背もたれに吹っ飛んだ。
頭と左肩が背もたれにめり込んで、クッションで撥ね返って、また、座席の下です。
「シュナごめんね。ケガなかった。」
とマーちゃん
2回目なので犬がゴロンゴロンで格好が付かないので
直ぐにピョンと痛いのを我慢して後ろ席にもどった。
「シュン偉い。車行き過ぎた、バックバック、
まって、まって後ろから車が来る。オーライ、オーライ」

サクラと言うのでマーちゃんが座っている運転席側の
後部座席のドア窓から覗くと僕にとっては、
排気ガスの墨でも塗ったように立っている古木だけなのに。
「天然記念物と庚申桜と書いてあるよ。平田町の天然記念物かなあ・・
荒井さんに調べてもらおうーと。」
と蕾がピンクのさくらをひーちゃんは、しゃがみ込んだり、遠く離れたりして
バカチョンカメラのシャッターを押すと、自動でフラッシュが
辺りを明るくしながら何枚も撮って戻ってきた。ランクスくんのドアをバタンと閉めると
「サー行こう。」
と言いながらシートに座ると同時にマーちゃんがアクセルを踏んだ。
かすかに聞こえる僕の耳に、
「かの、え、サルじゃないミニドック、黒墨だけじゃ無わい。
白く化粧した時、“またその日”にオイデ。」
と聞こえた。
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2004 年 4 月 14 日 水曜日
後ろ座席の下から、這い上がった僕は、山道らしいので
又半回転でもしたらドイツ犬としてバツが悪いし、犬歯でも折ったら
歯抜け犬でいなけりゃいけなくなるから後ろの席にいよーと。
国道349号とわかれて県道286号の曲がりくねった上り坂を峠に向かって走る。
「道は厳しくても・・」
とランクスくんは、スローのテンポで歌って上っていく。
僕は、後ろのドアの肘掛に前足を掛けガラス越しに映る淡い緑、
明るい緑、深い緑を追うように眺めているとね、にわか造りらしい店と
立派な倉庫が目に入ってきたよ。
「ねー。山菜が売ってそうよ。桧原町のようにきのこ汁あるかもしれないよ。」
とマーちゃんママ。
「さくら探した帰り、帰り。きのこは秋だよ。
でも、桧原町でのきのこ汁はサービスだけあってキノコより、
大根のほうが多かったよな。」

僕は、きのこ汁は苦手なんだ。何せ肉が無いもんね。
山形の芋子汁には牛肉が入ってるんだけどね、葱が入ってるから、
僕は食べちゃいけないんだってさあ、でもひーちゃんはお湯で一寸しゃぶしゃぶして、
豆腐と牛肉と里芋をチョッピリ食べさせてくれるんだ。
それが味が残っていて醤油の中に砂糖の味がしておいしいんだあ。
ぼくの主治医にひーちゃんが話したらね、マーちゃんと先生から怒られていたよ。
ランクスくんは、緑の酸素を多く吸いながらも峠を上り終えたらしく、「ホット」息を付いた。
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2004 年 4 月 7 日 水曜日
ぼく達は提灯祭りの桜を後回しにしてひーちゃんの目的地である平田村に急いでいる。
ランクスくんは、マーちゃんがドライバーという訳でもないが
“何処までも行こう”を口ずさみながら快調に走っている。
「まもなく、永志田のはずだが、あそこだ、
平田町と標識にも書いてある。右にもどってチョダイ。」
「何の言葉、右ね。」
めずらしく、マーちゃんママが、アクセルとブレーキを一緒に踏んで
キキーキと音を鳴らして右折した勢いで、後ろのシートに後ろ足、
物入れボックスに前足とライオン立ちしていた僕も、頭が振れて、
前足が滑って、後ろ足で踏ん張ってみたものの、
後ろの座席下に半回転して背中から落ちてしまった。

「はっははあ」とひーちゃんが笑った。
ランクスくんも意地悪く、
「うっふ。シートベルとをしてないからさ。」
と低い声。
ドックのシートベルトなんか無いのに、背中打っちゃたよ。
「あーら、シュンちゃん可愛そうね。ひどいダンナさんね、
痛くて怖がっているのに、笑ったりして動物だからと言って思いやりが無いんだから。」
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