‘におい優しい北上 「鳥谷脇の桜」’カテゴリーのアーカイブ

3. 瘤が火事で燃えちゃまったへのパーマリンク

2005 年 9 月 14 日 水曜日

「信号を右に曲がって間も無くして左に上がる道があるんですって。」
 「やっぱり、真っ直ぐでしたね。出発します。」
 「カメちゃん、左と右とでは大違いだよ。」
と交差点を右折して広い道路に戻り走り出すと。
 「あった、思い出しましたよ。あの道ですよ。
あそこを上った所の建物の傍にあるんですよ。」
 車は狭い坂道を上り切ると大きな屋根をもった昔ながら農家の家が現れた。
建物の前の屋敷畑は見事に手入れされている。
細道の右手は杉木立と雑木で鬱蒼としている。
 「カメさん、あれですか。」
 「あれですよ。あの古い巨木が桜です。やっぱり、花は全然咲いてないですね。」
 桜は大きな作業小屋の傍で建物を覆うように立っている。
 車を小屋の後ろに止めて三人は桜に近づくと、苔を生えながらも
風雪に耐え忍んだ古木が静かにながらも、
病気でもして幹の一部を切り取る手術を受けたかのように
少し元気のない息をしているようである。
 桜の写真を撮り終えたカメさんと私は、
桜と小屋の隙間を潜り抜け大きな家の玄関の戸を開けた。
鳥谷脇の桜
 「こんちわ。こんにちは。ごめん下さーーい。」
 と家の中に呼びかけてが静かな家に声が吸い込まれていった。
 「こんにちは。ごめん下さい。」
 「カメさん留守ですね。」
 「そうですね。」
と家の前で建物を眺めていると。
麦わら帽子に手ぬぐいで顔を日焼けを防ぎ、エプロンを掛け、
ゴム長の農作業の姿の小柄のおばーさんが戻ってきた。
 「こんにちは、一昨年もお邪魔したんでした。また、桜を見にきました。」
 「そうであんすか。花はまだでんすー。」
 「古い桜ですね。幹の部分は腐れたんで削ったんですか。」
 「あのところにデッカイ瘤があったす。わらすっこが登って遊んだもんだ。
随分前に小屋が火事になって瘤も燃えちゃまってんだー。」
 優しいばーちゃんと話を終えると記念に写真を撮ろうとするが遠慮気味に断る、
是非ににと誘って、ばーちゃんを中心にして並んだ。カメラノレンズに高台の家と
3人と北上の平原と青空が爽やかに映し出されいた。

2. 坂の上の000さんトコの桜だよへのパーマリンク

2005 年 9 月 7 日 水曜日

秋田道の北上西インターのゲートを3人の乗った車が出た。
 「インターを出て真っ直ぐに行ったと記憶しているんだけど。
信号あるね、広い道路を横切って。真っ直ぐ、真っ直ぐ。」
 「カメさん、この道はーー、何時か来た道だと思うけど、
どうー見ても農道だよ。前を見ても田んぼだよ。」
 「あれー、違うかな、真っ直ぐと記憶していたんですが、
坂を上った所に在るんですよ。道が違うようですね。
ユータウンして広い道路に戻りますね。」
と広い道まで戻ってきた。
 「インターから、左に曲がったんっだったかね。右に曲がって見ますよ。」
 「そー、慌てずに行きましょう。」
 「やっぱり、広い道を真っ直ぐ、真っ直ぐなんでしたね。
そして、川が有って橋を渡るはずなんですよ。
あった、橋がありました間違いは無いですが真っ直ぐな筈が大きくカーブしてますね。」
 「カメちゃん、一本道と言うことだ。あんまり気にしないていいよ。」
鳥谷脇の桜
「交差点、信号があるね。確か右に行ったと記憶してるから、右に曲がりますよ。」
 集落の中心と見受けられる建物が連なっている交差点を右折した。
 「カメちゃん、聞いたほうがイイんじゃない。丁度タクシー会社があるよ。」
 「そうだね。」
 「私が車いる運転手に来てますよ。」
と車を降りタクシー会社の事務所と同じ建物の屋根付き駐車場に止まっている
タクシーの運転手に尋ねた。
 「スミマセン、横川目はどの辺ですか。」
 「ココだよ。」
 「あ、ここですか。じゃあー、鳥谷脇の古木の桜はどの辺ですか。」
 「さくらかえ、000さんトコの桜だよ。」
 「000さんってどの辺ですか。」
 「その信号を右に行って間も無く左に上がる道があるよ。そこだよ。」
 「そうですか、有難うございました。」
と礼を言って車のドアを開けようとして道端を見ると“和賀役場跡”と書かれた
小さな碑が「よく来たね。」と微笑んでいるようである。

1. デジカメ、カメさんへのパーマリンク

2005 年 8 月 24 日 水曜日

カメさん、長岡さん、私の3人は盛岡の岩手河川国道事務所を後にして、
盛岡北インターチェンジで高速道路に乗って
仙台に向かってカメさんの運転で車を走り出した。
 「今日は晴れ上がっていて天気も良いし、早めに仕事が終わったので、
カメさんが昨年の春に訪ねた北上市和賀の桜を見に行ってもいいですか。」
 「どうですかね。まだ、早いかも知れませんね。一昨年ですね。
行ったのは、市役所に電話で聞いて4月の下旬だと思いますよ。
4が15日ですから、まだ早いと思いますよ。」
 「カメちゃん、折角岩手に来てるんだから、行って見たら。」
 「そうですね。そうしますかね。」
 「じゃあー、お願いします。もしも桜が蕾でもまたイイんじゃないですか。」
鳥谷脇の桜
 「和賀の桜は、自宅の敷地の中に有るんですよ。一昨年、買ったばっかりのデジカメで
持っていったんですが、写るかどうか心配だったので、写真機と2台もっていったんですがね、
デジカメで上手く撮れたんですよ。」
 「一昨年に写真見せて貰ったんですが、バッシシのデジカメ写真でしたよ。」
 「デジカメだからカメちゃんはカメラが得意か。」
 「・・・・・。」
話は一作年訪れた桜の話題が弾んで高速道路も北上市に入った。
 「えーーと、北上インターを過ぎて、北上ジャンクションから秋田道に入り、
秋田に向かって次の北上西インターで降りるんですよ。」
北上ジャンクションから西に向かって車は風を切って走る。